猫の病気の基本|見逃したくない体調不良のサインと動物病院を受診する目安
猫と毎日一緒にいると、
「今日はいつもより寝ているな」
「ごはんを少し残している」
「トイレへ何度も行っている気がする」
そんな小さな変化に気づくことがあります。
ただ、
「猫はよく寝るから大丈夫?」
「少し食べないくらいなら様子を見てもいい?」
「どんな状態なら動物病院へ行くべき?」
と迷うことも多いでしょう。
猫の病気を飼い主が自分で診断する必要はありません。
大切なのは、普段の状態を知り、「いつもと違う」に早く気づくことです。
この記事では、
- 毎日見ておきたい健康チェック
- 体調不良で現れやすいサイン
- 猫で知っておきたい代表的な病気
- 早めに動物病院へ相談したい状態
- 健康管理のためにできること
を、初めて猫と暮らす方にも分かりやすく紹介します。

病気って、飼い主さんが見ただけで分かるの?

病名まで判断する必要はないよ。「昨日までと何か違う」と気づくことが大切なんだ。
猫の健康管理は「普段の状態を知る」ことから
体調の変化を見つけるためには、元気なときの猫の状態を知っておくことが大切です。
毎日難しい検査をする必要はありません。
普段の生活の中で、
食べる
- いつも通り食べている?
- 食べる量が急に減っていない?
- 食べ方が変わっていない?
飲む
- 水を飲んでいる?
- 急に飲む量が増えていない?
- 反対にほとんど飲んでいない?
出す
- 尿は出ている?
- トイレへ行く回数に変化はない?
- 便の状態はいつも通り?
動く
- 普通に歩いている?
- 遊び方や活動量が急に変わっていない?
- 高い場所へ上がらなくなっていない?
眠る・休む
- いつもの場所で休んでいる?
- 隠れたまま出てこない?
- 呼んだときの反応はいつも通り?
といったことを見るだけでも、変化に気づきやすくなります。

「正常な数字」を全部覚えるより、まず“いつものその子”を知ることから始めよう。
猫のこんな変化に気づいたら注意

病気によって現れる症状はさまざまです。
そして、同じ症状でも原因は一つとは限りません。
「この症状=この病気」と自己判断せず、次のような変化があったら注意して観察しましょう。
1.食欲が落ちた・食べなくなった
猫の健康状態を知るうえで、食欲は分かりやすいポイントの一つです。
いつも食事の時間になると来る猫が、
- 食器まで来ない
- においを嗅ぐだけで食べない
- 数口だけ食べてやめる
- 好きなおやつにも反応しない
といった変化を見せることがあります。
原因は口の痛み、消化器の不調、腎臓などの病気、感染症、ストレスなどさまざまです。
環境省も、猫が食事をまったく取らない場合はすぐに動物病院へ相談するよう案内しています。

「今日はごはんの気分じゃない」だけかもしれないよ?

もちろん一時的なこともある。でも「いつもと違う」が続くなら、好き嫌いだけと決めつけないことが大切だよ。
2.水を飲む量や尿の量が変わった
「最近、水を飲むところをよく見る」
という変化も健康チェックのポイントです。
特にシニア猫では、
- 水を飲む量が増えた
- 尿量が増えた
- 体重が減ってきた
- 食欲が落ちた
といった変化が、慢性腎臓病などでみられることがあります。
慢性腎臓病は高齢猫で多くみられ、初期には目立った症状がないこともあります。
進行すると、尿量や飲水量の増加、食欲低下、体重減少、元気の低下などがみられることがあります。
だからこそ、普段の飲水やトイレの様子を知っておくことが大切です。
3.何度もトイレへ行く・尿が出ない
これは特に注意したいサインです。
猫の下部尿路の問題では、
- 何度もトイレへ行く
- 排尿時に力む
- 少量しか尿が出ない
- 排尿時に鳴く
- 血尿
- トイレ以外で排尿する
- 陰部を頻繁になめる
などがみられることがあります。
原因には膀胱炎、尿石、尿道閉塞などさまざまなものがあります。
特に何度も排尿姿勢を取るのに、尿がほとんど出ない・まったく出ない状態は緊急性があります。
尿道閉塞は特に雄猫で起こりやすく、命に関わる可能性があるため、すぐに動物病院へ相談してください。

トイレに何回も行ってるなら、たくさんおしっこしてるってこと?

逆の場合もあるんだ。何度も行くのに「出ていない」ときは特に注意しよう。
4.吐く
猫は毛玉などを吐くこともあるため、
「猫は吐く動物だから大丈夫」
と思われがちです。
しかし、嘔吐が頻繁だったり、
- 元気がない
- 食欲がない
- 下痢もしている
- 血が混じる
- 水を飲む量が変わった
- 尿の量が変わった
といった症状を伴う場合は、動物病院へ相談しましょう。
「何を吐いたか」「何回吐いたか」「食後どのくらいで吐いたか」を記録しておくと、受診時の情報になります。
写真を撮っておくのもよいでしょう。
5.下痢・便の状態が変わった
毎日のトイレ掃除は、健康状態を確認する機会でもあります。
便については、
- いつもより軟らかい
- 水のような下痢
- 回数が増えた
- 血や粘液が混じる
- 便が出ない
- 便の色がいつもと違う
などを確認します。
食事の急な変更やストレスなどで一時的に便が変わることもありますが、下痢が続く場合や、食欲低下・元気消失・嘔吐などを伴う場合は動物病院へ相談しましょう。
6.呼吸がいつもと違う
呼吸の異常は緊急性が高い場合があります。
- 明らかに呼吸が苦しそう
- 口を開けて呼吸している
- 呼吸の仕方が普段と大きく違う
- ぐったりしている
などがみられる場合は、様子を見続けず動物病院へ相談してください。

呼吸がおかしいと感じたときは、「もう少し様子を見よう」と長く待たないことが大切だよ。
7.目・鼻・口にも変化が出ることがある
顔を見るときにも健康チェックができます。
例えば、
- 目やにが増えた
- 涙が多い
- 目を開けにくそう
- 鼻水が出る
- くしゃみが続く
- よだれが増えた
- 口臭が急に強くなった
- 食べづらそう
などです。
目・鼻・口の症状にもさまざまな原因があります。
長く続く、痛そう、食事に影響しているなどの場合は獣医師へ相談しましょう。
8.毛並み・皮膚にも注目
毎日猫をなでたりブラッシングしたりすると、
- 毛が急に抜けた
- 一部分だけ薄くなった
- 赤くなっている
- かさぶたがある
- 同じ場所を何度もなめる
- 強くかゆがる
- しこりのようなものがある
といった変化に気づくことがあります。
ブラッシングは毛のお手入れだけでなく、猫の体に触れて変化を見つける機会にもなります。
猫で知っておきたい代表的な病気
ここでは「病名を覚える」ことより、
どんな変化がきっかけになるか
を中心に紹介します。
腎臓の病気
特にシニア猫で注意したいものの一つが慢性腎臓病です。
初期には明らかな症状がないこともあります。
進行すると、
- 水をよく飲む
- 尿量が増える
- 食欲が落ちる
- 痩せる
- 元気がなくなる
などがみられることがあります。
定期的な健康診断や血液・尿検査などによって確認していくことが重要です。
下部尿路の病気
膀胱や尿道に関係する病気をまとめて「猫下部尿路疾患」と呼ぶことがあります。
排尿時の痛み、頻尿、血尿、トイレ以外での排尿などがサインになる場合があります。
特に尿道が詰まって尿が出なくなる状態は緊急です。
胃腸の病気
嘔吐や下痢、食欲低下などは、胃腸のトラブルだけでなくさまざまな病気で起こります。
「吐いたから胃の病気」
「下痢だから食べ物が悪かった」
と原因を決めつけず、繰り返す場合やほかの症状を伴う場合は診察を受けましょう。
感染症
猫にはウイルスや細菌、寄生虫などによる感染症があります。
予防できるものについては、猫の年齢、生活環境、健康状態などを踏まえて、ワクチンや寄生虫予防について動物病院で相談しましょう。
完全室内飼育は、交通事故やけんかだけでなく、一部の感染症に接触する機会を減らすうえでも重要です。
口・歯の病気
口の中に痛みがあると、
- 食べづらそう
- フードを口から落とす
- 片側だけで食べるように見える
- よだれ
- 口臭
- 食欲低下
などの変化につながる場合があります。
日頃から食べ方も観察しておきましょう。
こんな状態は「様子見」せず動物病院へ

体調変化の程度や猫の年齢・持病などによって判断は異なります。
そのうえで、特に緊急性を考えたいのが、
- 尿がまったく出ない、または何度も排尿姿勢を取るのにほとんど出ない
- 明らかに呼吸が苦しそう
- 意識がおかしい、倒れた
- けいれんしている
- 大きな外傷がある
- 中毒の可能性があるものを口にした
- 食事をまったく取らない
- 急激にぐったりした
といった状態です。
「朝まで待ってもいいかな」と迷う場合も、まず動物病院へ電話して指示を受けると安心です。

病院へ行くほどなのか迷うこともあるよね。

迷ったら電話で相談するのも立派な判断だよ。自己判断だけで長く待たないことが大切なんだ。
猫に人間用の薬を自己判断で与えない
人が普段使っている薬でも、猫にとって安全とは限りません。
「同じような症状だから」
「少量なら大丈夫そう」
と、人間用の鎮痛薬や風邪薬などを自己判断で与えるのは避けてください。
また、誤飲・中毒が疑われる場合も、自己判断で吐かせようとせず、動物病院へ連絡して指示を受けましょう。
病院へ行くときに記録しておくと便利なこと
猫は動物病院へ到着すると緊張し、自宅で見せていた症状が分かりにくくなることがあります。
気になる変化があれば、
- いつから?
- 何回くらい?
- 食事量
- 飲水量
- 尿・便の状態
- 嘔吐物
- 普段との行動の違い
などをメモしておきましょう。
可能であれば、歩き方・呼吸・咳・嘔吐などの様子をスマートフォンで動画撮影しておくことも、獣医師へ状況を伝える助けになります。
体重も「いつもとの違い」を知る大切な情報
猫は毎日見ていると、少しずつ痩せたり太ったりしても気づきにくいことがあります。
定期的に体重を測って記録しておけば、
「前回より減っている」
「少しずつ増え続けている」
という変化を数字で確認できます。
特にシニア猫では、体重の変化も健康状態を知るための情報の一つになります。

見た目が変わらなくても体重は変わっていることがあるんだね。

だから記録が役立つんだ。“何kgなら健康”ではなく、その子の変化を見るために使おう。
健康管理に:タニタ「デジタルヘルスメーター CA-100」
猫を抱っこした状態で測定できる「ペットモード」を搭載した体重計です。
50g単位で測定でき、猫の体重の推移を家庭で確認する用途に使えます。
体重だけで病気を判断することはできませんが、定期的な健康記録の一つとして取り入れやすいアイテムです。
定期的な健康診断も大切
猫は元気そうに見えていても、病気の初期には分かりやすい症状が現れないことがあります。
特に慢性腎臓病などでは、初期に明らかな症状がない場合があります。
そのため、
「病気になったら動物病院へ行く」
だけではなく、健康なときから定期的に診察を受けることも大切です。
健康診断の頻度や必要な検査は、年齢や健康状態によって異なります。
かかりつけの動物病院で相談しましょう。
毎日できる「5つの健康チェック」

難しく考える必要はありません。
毎日、
① 食べる
② 飲む
③ 出す
④ 動く
⑤ いつものように過ごしている
この5つを見てみましょう。
トイレ掃除をするとき。
ごはんをあげるとき。
水を交換するとき。
遊んでいるとき。
なでているとき。
全部が健康チェックの時間になります。
まとめ|「いつもと違う」に気づくことが病気の早期発見につながる
猫の病気を飼い主が診断する必要はありません。
大切なのは、
- 普段の食事量を知る
- 水の飲み方を見る
- 尿と便を確認する
- 嘔吐・下痢などの変化を見る
- 動き方や元気を見る
- 毛・皮膚・目・鼻・口を見る
- 定期的に体重を記録する
- 気になる変化が続けば獣医師へ相談する
- 尿が出ない・呼吸がおかしいなど緊急性のある症状は待たない
- 健康なときから定期的に動物病院と付き合う
ことです。
猫と毎日暮らしている飼い主だからこそ気づける、小さな変化があります。

病気の名前を全部覚えなくてもいいんだね。

そう。「いつものシンバと違う」と気づいて、必要なときに獣医さんへつなぐ。それが飼い主さんにできる大切な健康管理だよ。
次に読みたい「健康管理」


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参考資料
- 環境省「猫の適正譲渡ガイドブック」
- 環境省「猫の健康飼育ハンドブック WEB版」
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Feline Lower Urinary Tract Disease」
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Chronic Kidney Disease」
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Vomiting」
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Diarrhea」
※この記事は猫の健康管理に関する一般的な情報をまとめたものです。個別の診断や治療を目的としたものではありません。体調に異変がある場合は獣医師へご相談ください。
